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田んぼの中から巨大な帆船が出航?! ――大地の芸術祭2009レポート@野外【前編】

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スタシス&コウォジェイスキ、ヴィタシェフスキ(A+D) / 「訪問者」

 シェフェールにアングルにコニエ、ビュフェにクレー。靴音立てて美術館を歩き、正面から好きな絵と見つめあうと、嵐のように胸がざわめく。でも、きらびやかな都市の中、美術館といううつくしい宝石箱に入った作品だけが芸術と考えるのはもったいない。

 芸術というのは、人と作品の出会いそのもののことだと、ぼくは思っている。

 東京を遠く離れた里山で出会う作品があってもいいし、もとをたどれば、作家が里山に出会って作品が生まれることだってあるだろう。そのありえない出会いを生んだのが「越後妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭2009」だ。

 街灯もまばらで人影も少ない、静かな新潟の里山をドライブしていると、突如としてアート作品が目に飛び込んでくるという異色のアートフェス。面白かった作品を数回の記事に分けて、ひとつテッテー的に紹介してみたい。


草間彌生 / 「花咲ける妻有」

 まずはご存じ、草間彌生さんによる原色の花。穏やかな里山が夢に見たような場所に様変わりする。着いたときにちょうど雨が降っていたので、まるで朝露に濡れたような色味になっていた。

小沢剛 / 「かまぼこ型倉庫プロジェクト・かまぼこ画廊」

 つづいては読んで字のごとく、かまぼこ型の倉庫をモチーフにした作品。倉庫の中を覗き込むとオブジェが並ぶ。この倉庫、新潟の街中を走っているとよく見かけた。土木用の機材が入れてあることが多いよう。

イリヤ&エミリヤ・カバコフ / 「棚田」

 「松代農舞台」というエリアで一番の見どころなのがこれ。棚田に巨大な彫刻を置き、手前に短い詩を配したもの。目に見えている風景、そして見ている環境がそのもの作品になる。朝晩はもちろん、晴れや雨でも作品の姿は変わる。


イリヤ&エミリヤ・カバコフ / 「棚田」

 詩の内容は、四季の農作業を追ったもの。棚田では、時が経つに連れて変わっていく収穫までの作業を青から黄色へと色を変わる彫刻であらわす。ワイヤーで吊られ、風に吹かれる言葉と青い棚田が溶け合い、人の営みの力強さ、きらめきに打たれる。

白井美穂 / 「西洋料理店 山猫軒」

 ご存知、宮沢賢治「注文の多い料理店」に出てくる「西洋料理店 山猫軒」を再現したドアの群れ。1枚ずつ原作どおりの文句が書かれていて、最後には……。国立新美術館で開かれたアーティストファイル2008ではビデオを交えたインスタレーションとして展示されたもの。

島田忠幸 / 「里山アート動物園」内の作品

 林の中に突如あらわれる迷彩のイヌ。辺りに溶け込むようで溶け込まない、異形のイヌだ。古川日出男の傑物「ベルカ、吠えないのか?」を思い出す。

島田忠幸 / 「里山アート動物園」内の作品

(記事後半に続きます)

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